映画「彼らは生きていた」の感想。胸に突き刺さる。歴史を体験する映画

映画/ドラマ レビュー
皆さん、こんにちは!ユーチューバーでライターのタツです
今回は、彼らは生きていたというドキュメンタリー番組についてご紹介します!
1917と同様に第一次世界大戦(WW1)のお話ですよね。
劇映画ではないんですか??
そうなんです。WW1の記録映像って本来100年以上前の映像なので、
当然白黒映像しか残っていないじゃないですか?
そうだよね、だけどこれポスターとかカラーだけど??
そう。この映画現在の最新技術を駆使して、
その当時の映像をカラーで蘇らせているんだよ。
え!!じゃこれ100年以上前の本当の映像ってこと??
そうそう。それに、実際にWW1を経験した方々のナレーションが入るので、
驚くほどリアルなその当時の状況が描かれているんだよ。
まじか・・・これはとんでもない作品の予感。
もうね、正直耳を疑う事実とか、
目を覆いたくなるような映像も出てきてすごい物を見てしまった感があるよ。



1.彼らは生きていたのあらすじ

「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー。第1次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、帝国戦争博物館に保存されていた記録映像を再構築して1本のドキュメンタリー映画として完成。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像にを修復・着色するなどし、BBCが保有していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加した。過酷な戦場風景のほか、食事や休息などを取る日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた人々の人間性を浮かび上がらせていく。

2018年製作/99分/R15+/イギリス
原題:They Shall Not Grow Old
配給:アンプラグド

引用:映画.com

2.予告

引用:YouTube

3.各映画レビューサイトのレビュー

※2020年4月7日現在

4.感想


・100年以上も前の映像が、最新技術で蘇る
・人間の慣れの怖さ
・WW1を経験した人たち
90点/100点満点中
歴史を体験する傑作。

①100年以上も前の映像が、最新技術で蘇る


100年以上前のWW1の映像って、音声もなくて色も白黒のものしか残っていないわけですが、今作ではなんとそれらの映像資料を現代の技術を駆使して蘇らせています。

まずなんといってもフルカラーになっていることと、フレームレートも向上しているので、より滑らかな映像になっていることには一番驚かされました。更に映像から「何を話しているのか」を解読して、新たに音声をアフレコしているので、本当にその当時の映像が少し前に撮影された映像のように蘇っています

更に本作は、実際のWW1を経験された方々の600時間にも及ぶインタビュー音声で構成されているので、より戦争の生々しさが伝わる作品となっています。また、その経験談を淡々と語っていくあたりが妙に生々しくて、1917以上に観終わった後にザワザワとさせられる作品となっていました。「とんでもねぇ映画を観てしまった・・・」としばらく放心状態になりましたね。

WW1は人類史上最も多くの戦死者を出してしまった戦争ということで、1917でもその地獄のような戦争の描写が目に焼き付いていますが、この作品に出てくる映像は全て本当の映像を元に作られているわけですから、より精神的にくるものがありました。戦争については勉強不足で知らないことが多いので、世界史と含めてもう一度勉強し直したくなる作品でした。

ちなみに、この600時間のインタビュー音声は全てチェックした上で選定を行っているようで、その当時のフィルムの確認と、音声のチェック作業だけで1年半程時間がかかっているそうです。劇映画の撮影の何倍も時間をかけて作成された映画なんですね。

②人間の慣れの怖さ。

まず驚いたのが、「国の為に命を捧げることが正しい」と本気で思って10代の若者たちも自ら「年齢をごまかして」従軍していたこと。そしてそれが当たり前のことだと思って疑うこともしなかったというのが淡々と語られるのは衝撃的でした。

終戦を伝えられたときも歓喜する人はいなくて、むしろ「何をすれば良いのか途方にくれた」とか「仕事がなくて困った」というような帰還兵の方々の話がリアルであり恐ろしかったです。その当時の人は戦争に行くのが当たり前になっていたんですね・・・

最初は最前線に行くことをためらっていた兵士が、次第に戦場に慣れていき気がつけば「死体の確認すらしなくなった」とも語られており、人間の慣れって本当に恐ろしいなとも感じました。前半部で兵士達の笑顔や食べ物を分け合うシーンが続くのですが、後半にいくにつれて地獄のような戦場について描かれたり語られていくので、前半と後半がかなり対比的で強く印象に残りました。

③WW1を経験した人たち

監督はロード・オブ・ザ・リング3部作のピーター・ジャクソン。祖父がWW1に従軍したこともあり、今作を「自身にとって最も個人的な作品」と語っています。

ちなみに、ピージャクが監督した「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者であるJRRトールキンの原作「指輪物語」って、思い返してみると、ずっとモルドールの軍勢達と主人公達が戦っている話でしたよね?実は、トールキンもWW1の最前線であったソンムの戦いに参戦しており、その時の体験が後の「指輪物語」に大きく影響を与えているらしいんです

ピージャクにとっては祖父や、自分が監督した映画の原作者が経験した戦場についてということもあって、かなり力の入った作品となっているのではないでしょうか?

このあたりについては、「トールキン 旅の始まり」というトールキンの自伝的映画の中で描かれていると思うので、近々鑑賞しようと思います。

更に、くまのぷーさんの原作者であるAAミルンもWW1の最前線「ソンムの戦い」に従軍していて、その時のショックでPTSDを患い、帰還後は心の傷を癒すために森を買ったり、セラピー的に童話を書き始めたらしのですが、これが後の「くまのぷーさん」になったと言われています。これについては「グッバイクリストファー・ロビン」という映画で描かれているようなのでこれもセットで鑑賞をしたいところ。

5.みんなの感想

前半の兵士たちの笑顔と、後半の地獄のような映像が対比的で強く印象に残りました。

正直、死体等の目を伏せたくなるような描写もたくさん出てきます。

死体に慣れすぎて、それが誰か確認しなくなる。
人間の慣れって本当に恐ろしい。

6.まとめ

最近第一次世界大戦に関する映画を立て続けに観ておりますが、「1917」「彼らは生きていた」「グッバイクリストファーロビン」「トールキン 旅のはじまり」はセットで鑑賞すると良いと思います。

世界史についてはあまり勉強してこなかったので、この映画をきっかけに深堀りして勉強したいなと思いました。以上タツでした。(@tatsu_uctv)